ロシアとウクライナの停戦交渉、合意至らず 両国の要求と狙いは?

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2月28日、ロシアとウクライナ両国の停戦交渉が第三国であるベラルーシの南東部ゴメリ州にて行われました。
5時間に及び停戦交渉が行われましたが合意には至らず、近日中に再度第三国であるポーランドとベラルーシの国境地帯にて停戦交渉が行われる予定となります。

停戦における両国の目的、落としどころはどこなのでしょうか。背景から両国の思惑を紐解いていきます。

ロシアの要求と狙い

出典:youtube

ロシアは2月24日に国境を越えウクライナへ侵攻を始めました。
完全に占領下に置いた都市は無いものの首都キエフや大都市ハリコフに対し猛攻を加えており、圧倒的な戦力を見せつけています。

こうした状況の中ロシアは停戦交渉のテーブルに着き、ウクライナに対し「非武装化」と「中立化」を求めています。
中立化とはつまりNATOに加入しない旨を求めています。
元々今回のウクライナ侵攻は、NATOとの緩衝地帯であるウクライナがNATOに加入する動きを見せたことから、それを防ぎたかったロシアが独立支援という名目でウクライナに攻め入ったことで始まった戦争です。

ロシアの要求は侵攻前より一貫しており、ウクライナのNATO加入だけは阻止したいという思惑が見てとれます。

ウクライナの要求と狙い

出典:youtube

ロシアに攻め入られ、元々首都を据えていた大都市ハリコフに無差別攻撃を仕掛けられ、また首都キエフに攻め入られる危険を抱えているウクライナの要求は当然のように即時侵攻の停止でした。

ロシアとしてはウクライナがNATO・EU(欧州諸国)に寄ることを避けたい思惑が強い中、ウクライナはNATO・EUへの加入を急いでおりゼレンスキー大統領は特例としてすぐにEUに加盟できるよう申請を出しています。

ウクライナの要求はロシア軍の即時停戦、NATO加入による西側諸国参戦が狙いです。

噛み合わない両国の要求。落としどころは?

NATOへの加入を阻止したいロシアと、NATOへ加入及び周辺国家からの支援を期待しないと首都占領が間近に見えてしまっているウクライナ。
会談の結果は一定の進歩があったと両国の代表は語っていますが、要求は真逆なものであり平行線のように感じられます。
会談中も停戦はなくロシアの猛攻は続き、具体的な落としどころは一切語られておらず次の会談へ持ち越しとなっていることからも事態は悪化の一途をたどっているように感じられます。

また3月1日現在、ロシアの主力部隊とみられる64kmにも及ぶ車列がウクライナの首都キエフに向かっている情報が報道されています。
このまま西側諸国の介入がなく、会談も平行線のままだと大勢の民間人も残っている首都キエフが戦禍に巻き込まれる可能性があります。

過去の戦争の歴史を遡り見た現実的な落としどころとしては、ウクライナ側はEU・NATOへの即時加入を撤回、「ドネツク人民共和国」および「ルガンスク人民共和国」の承認、両独立国へのロシア軍の駐留を認める代わりにウクライナ国内からロシア軍の完全撤退でしょうか。
ロシア軍のウクライナの一部駐留はありえるでしょうが、SWIFTからの排除等世界各国からのバッシングを緩和する為、ロシア側は一定の譲歩を見せる可能性はあります。

両国の思惑は様々ですが、日々増える死傷者、巻き込まれた一般人の話を聞くと早く事態が収束することを願ってやみません。