ロシアがウクライナに侵攻し、毎日ウクライナの情勢がニュースで流れていますが、時折耳にするのが隣国ベラルーシという国名。
日本ではこれまであまり聞くことはなかった国名ですが、どういった国で今回の戦争にどのように関わっているのでしょうか。
目次
ベラルーシの地理と歴史
ベラルーシは西側諸国であるポーランド・バルト3国とウクライナ、ロシアに囲まれており、地政学的にはとても複雑で不安定な地域です。
歴史を紐解いて見ても、ポーランドに併合されていた時期があり、ソ連の一員だった時期もあり激動の歴史を持っています。また第二次世界大戦中ベラルーシはソ連とドイツの主戦場となり、国土が荒廃した苦い記憶を持っていることから現在のEU諸国とロシア、どちらにも所属せず緩衝地帯としての役割を担っていました。
現在は国内エネルギー供給の9割を依存するロシアと同盟関係にあり、ロシアによるウクライナ侵攻に関しても直接的な軍事介入はしていないもののロシアの軍隊を駐留させ、自国の基地をウクライナ侵攻の拠点として提供するなどロシア側と歩調をあわせ行動しています。
EU諸国とロシアの緩衝地帯という意味ではベラルーシとウクライナはとても似たような関係であり、現在親ロシアに舵を切っている状態と言えます。
ロシアとは蜜月関係というわけではない?
ロシアのプーチン大統領、ベラルーシのルカシェンコ大統領の会談が報道され、蜜月関係というように多く報道されていますが実はベラルーシも完全に親ロシア一辺倒というわけではありません。
移民問題等でEU圏である隣国ポーランドとの関係は決して良いとは言えないものの、地政学的にロシア一辺倒となってしまった場合有事には苦境に立たされる同国は、常にEU諸国とロシアとのバランスを保っていきたいのが本音です。
現在の大統領は新ロシア派筆頭と言われるルカシェンコ大統領ですが、近年は原油を人質に取るロシアをけん制する為EU諸国との関係を模索していました。
しかしロシアのウクライナ侵攻に伴い、窮地に立たされたベラルーシはロシア側に全面的に協力する姿勢を取っています。
ゆえにロシア軍を自国に駐屯することは許可しても、自国の軍隊をウクライナに派兵するまでには至っていないということですね。
今後のベラルーシの行動は
3/14現在、ルカシェンコ大統領はウクライナに派兵することはしないと述べていますが、軍隊をウクライナ周辺に集めているとの情報もあり今後の動きが注目されています。
ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシアと共にベラルーシに対しても欧州各国より経済制裁が発動されています。このままではロシアと共に経済が衰退してしまう可能性が高いですが、軍隊が駐屯しており組みしているロシアを切り離すこともできず、苦境に立たされています。
ロシアに歩調を合わせウクライナに侵攻するか、踏みとどまるかで今後のベラルーシの運命は大きく変わってくるでしょう。